就労支援事業所内にあるコミュニティカフェ「Kimama(きまま)」

大町市の大町温泉郷にある障がい者就労継続支援B型事業所「maica’s cafe & kitchen」内で月一回、「コミュニティカフェKimama(きまま)」を開く今野ゆきさん。
長年携わってきた福祉の現場や子育ての経験を踏まえて、制度のはざまにいる人たちや、家族の世話で疲れている人たち、思いを吐き出せない人たち、引きこもりや不登校の人たちなどが、心身ともに充電できる居場所をつくりたいと、2024年にKimamaを立ち上げました。
仕事と子育ての経験から活動

神奈川県内の自治体で社会福祉職として約30年間、生活保護や子どもの相談対応をする中で、制度の中では解決できない場面を多く経験しました。また、自身の子どもたちが不登校などになり、心配で頭も気持ちもいっぱいいっぱいになることがありました。仕事も家事も回さなければならず、心身共に疲弊していたとき、自分以外の誰かが子どもの傍で寄り添ってくれたらいいな、と思うこともありました。
縁があった大町には2024年に移住し、県の「障がい者活躍サポーター」として、チャレンジ雇用で働く人たちをサポートしています。地域では、maicaとの協同で、発達障がいサポーター養成講座を企画したり、大北圏域の障がい者の支援者や居場所づくりの活動をしている人たちとつながりながら、支援者同士のネットワークを広げています。
相手に寄り添う姿勢を大事に

「つながれている人はいい。相談機関に行くのは心理的にハードルが高いものだと思う。また、相談機関は一定の解決を求められるところなので、相談者は何らかの評価をされる感覚があると思う。ここは相談機関ではないので、評価を気にしなくていい、と思ってもらえたら嬉しい」と言います。
活動する中で、「その人の辛いことや置かれている状況に寄り添いながら聞いているつもり。自己肯定感を上げられれば。家族や周りの人に話しにくいことを、家でもない場所でお茶を飲みながら話せれば。こういう場所が必要って考えている人がいる、ということが、誰かの気持ちの支えのひとつになれば」と願います。
敷居の低いアットホームな居場所を

会場となるmaicaは、地元食材を生かしたパンや料理、スイーツ、ドリンクなどを提供し、利用者さんの手仕事品が並ぶ、ぬくもりのある空間が広がります。
カフェは月一回、予約とオープン(出入り自由)の時間に分けて開いています。折り紙や本を並べてみたり、今野さん得意の編み物を常備するなど、運営の在り方を模索しています。
「ゆきママ」の愛称で、親しまれている今野さん。「悩みを話さなくてもいい」と、優しい笑顔で迎え入れてくれます。評価をせずに、ただ寄り添って話を聞いてくれる存在が、ふらりと立ち寄れるカフェにいてくれる地域って、心強いですね。
このインタビュー記事は、赤い羽根共同募金「令和5年度ポスト・コロナ社会に向けた福祉活動応援助成」により制作されました。